歴史的用途
柿渋の歴史的用途
柿渋は古くは平安時代より我々日本人の生活に深く関わってきました。主な用途としては、塗料として木材に塗る、染料として布を染める、和紙に塗ることでしたが、それ以外にも色々な用途に使用されてきました。その歴史について説明したいと思います。
日本酒と柿渋
江戸時代以降、日本酒の製造工程に於いてモロミを搾るのに柿渋で染めた袋が使用されました。毎年シーズン前に柿渋を染めることから杜氏の仕事が始まったと言われ、それを何年も繰り返したものが酒袋です。今では酒造りも機械化され、酒袋も使用されることはなくなりました。
酢・醤油と柿渋
酢や醤油の製造工程においても同じように柿渋を塗った袋が使用されました。
漁業と柿渋
投網などの魚網に柿渋が利用されてきました。昔はあちらこちらで漁師さんが網を繕い、柿渋を塗る姿を見かけました。又、柿渋で染めた綿糸が釣り糸にも使用されました。今では化学繊維が主流になり、柿渋は殆ど使用されません。
養蚕と柿渋
柿渋を塗った紙の上に桑の葉を敷き、蚕が飼育されました。
漆器と柿渋
漆器の下塗りとして柿渋が利用されていることは意外と知られておりません。当時は漆の方が柿渋より高価であったことや、漆よりも柿渋の方が扱い易いということもその理由かと思われます。今では下塗りも減っているようです。
和紙と柿渋
和紙に柿渋を塗る方法で盛んに利用されていました。京友禅や小紋などの型紙や、伊勢型紙が有名です。又、衣服としても利用されました。
厚紙に柿渋を塗り、乾燥させた後で揉み上げて柔らかくし、露に晒して柿渋の臭いを取って衣服を作った。元々は律僧が用いたものだが、後には一般にも利用され元禄時代には結う遊里などでも流行したそうです。
和傘と柿渋
今でも番傘の竹の骨の部分に柿渋が利用されています。余り発色しないように新渋といわれる搾りたての柿渋が使用されています。
うちわと柿渋
柿渋を塗ったうちわはその強度を増すことから強い風を起こすことが出来るので渋うちわと呼ばれ、今でも重宝されています。うなぎの蒲焼の風景を思い浮かべてみて下さい。
染料と柿渋
染料として利用された歴史は古く、現在ではその微妙な色合いと独特の雰囲気が人気を呼んでいます。
塗料と柿渋
古くから家の柱、床 梁などに、又桶や籠などにも使用されてきました。